
「一人で頑張らなくていい。」子育て家庭に寄り添う家庭訪問型支援「ホームスタート」とは?
「誰かに話を聞いてほしい。」
「少しだけ、一緒に子育てをしてくれる人がいたら…。」
子育て中、そんな気持ちになったことはありませんか?
核家族化や地域とのつながりの希薄化が進む今、身近に頼れる人がいないまま育児を頑張っているママ・パパは少なくありません。
SNSやインターネットにはたくさんの情報がありますが、本当に必要なのは「正しい答え」よりも、「大丈夫だよ」と寄り添ってくれる存在なのかもしれません。
今回は、子育て経験のある地域の先輩親が家庭を訪問し、一緒に時間を過ごしながら子育て家庭を支える活動「ホームスタート」について取材しました。
お話を伺ったのは、特定非営利活動法人ホームスタート・ジャパンの森田さん。
ホームスタートがどのような活動なのか、そして今の時代だからこそ必要とされる理由について詳しくお聞きしました。
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「教える」のではなく「寄り添う」。
ホームスタートという子育て支援
ホームスタートは、イギリスで50年前に始まった家庭訪問型の子育て支援です。
日本では約17年前から活動が始まり、2025年度末時点で全国128の地域団体が33都道府県で活動しています。
地域では約4,200人のホームビジターと呼ばれるボランティアが活躍し、これまでに2万家庭を超える子育て家庭を支えてきました。
ホームスタートの大きな特徴は、「育児を教える」ことが目的ではないことです。
家庭を訪問するのは、同じように子育てを経験してきた地域の先輩親。
育児の方法を指導したり、アドバイスを押し付けたりするのではなく、一緒に話をしたり、お茶を飲んだり、子どもと遊んだりしながら、ママやパパに寄り添います。
森田さんは、
「フレンドシップで寄り添うことを大切にしています。」
と話してくださいました。
専門家ではなく、「少し先を歩いてきた先輩」がそばにいてくれる。
その安心感こそが、ホームスタートならではの魅力です。
地域とのつながりが薄れた今だからこそ必要な支援
大分県での研修の様子
ホームスタートが日本で必要とされるようになった背景には、子育てを取り巻く環境の変化があります。
昔は近所の人や親戚との交流があり、困った時には自然と助け合える地域も多くありました。
しかし現在は、
・核家族化
・転勤による引っ越し
・地域とのつながりの減少
などにより、誰にも頼れず子育てをしている家庭も珍しくありません。
特に初めての子育てでは、
「これで合っているのかな?」
「私だけうまくできないのでは…」
と不安になり、自分を責めてしまう方も多いそうです。
そんな時に、
「私も同じだったよ。」
と少し先を経験した人が話を聞いてくれるだけで、心が軽くなることがあります。
子育てには正解がありません。
だからこそ、誰かと気持ちを共有できる場所が、今の時代には必要なのだと森田さんは話します。
「普通の先輩ママ・パパ」だから話せることがある
ホームスタートで家庭を訪問するホームビジターは、保育士や看護師などの資格が必須ではありません。
基本となるのは、子育て経験があること。
活動前には約23時間の研修を受け、相手の話を受け止める「傾聴」などを学びます。
もちろん保育士などの資格を持つ方が活動している地域もありますが、訪問する時は「専門家」としてではなく、一人の地域の先輩として関わります。
「私もそうだったよ。」
「大変だったよね。」
そんな言葉だからこそ、素直に受け止められることがあります。
評価されたり、指導されたりするのではなく、自分の気持ちを安心して話せる相手がいること。
それがホームスタートの大きな価値です。
家庭訪問だからこそ、本当の気持ちを話せる

ホームスタートでは、利用者が支援センターへ行くのではなく、ホームビジターが家庭を訪問します。
この「訪問型」であることにも大きな意味があります。
例えば、
・赤ちゃんを連れて外出するのが大変
・双子や兄弟がいて移動が難しい
・初めての場所へ一人で行く勇気が出ない
そんな理由から、子育て支援を利用したくても一歩踏み出せない方もいます。
自宅であれば、いつもの生活の中で自然体のまま話ができます。
また、ホームビジターと一緒に支援センターへ出掛けたり、地域のイベントへ参加したりすることで、新しいつながりが生まれることも少なくありません。
森田さんは、
「家庭訪問は、社会とのつながりをつくる入り口にもなるんです。」
と話してくださいました。
一人では難しかったことも、誰かと一緒なら挑戦できる。
ホームスタートは、その最初の一歩を支えています。
「人に頼れた私も頑張っていた」と思えるようになる
ホームスタートを利用する方から多く聞かれるのは、
「ワンオペ育児がつらい」
「二人目が生まれて毎日が精一杯」
「自分はダメな母親なんじゃないか」
という声だそうです。
真面目な人ほど、一人で頑張ろうとしてしまいます。
しかし、ホームスタートを利用した多くの方が、
「人の力を借りても、私もちゃんと頑張っていた。」
と思えるようになるといいます。
「全部一人でやらなければならない。」
そんな思い込みから少し解放されるだけで、子育てへの自信を取り戻せる人も少なくありません。
ホームスタートは、育児を代わりにやるサービスではなく、ママ・パパ自身が持っている力を引き出す"エンパワーメント"の活動でもあります。
「子育ては地域みんなで。」ホームスタートが目指す未来

ホームスタートは、これまで妊娠中から乳幼児のいる家庭を対象に活動してきましたが、今後は学齢期の子どもがいる家庭への支援も広げていく予定です。
小学校入学後の「小一の壁」や、不登校など、新たな悩みを抱える家庭も少なくありません。
森田さんは、
「日本全国どこに住んでいても、『誰か来てくれないかな』と思った時に、『行きますよ』と言える地域を増やしたい。」
と話してくださいました。
そして最後に、MamaCollegeをご覧の皆さんへ、こんなメッセージを届けてくださいました。
「子育てを完璧にやろうと思わなくて大丈夫です。外の力を借りることは悪いことではありません。子どもにとっても、いろいろな人と出会いながら育つことは大切です。どうか遠慮せず、地域の力を頼ってください。」
その言葉には、「子育ては家族だけで抱え込むものではなく、地域みんなで支えていくもの」というホームスタートの想いが込められていました。
今回のお話を伺い、「子育ては一人で頑張るものではない」という言葉の意味を改めて考えさせられました。
ホームスタートは、育児の正解を教えてくれるサービスではありません。同じように子育てを経験した地域の先輩が、ただ一緒に過ごし、話を聞き、寄り添ってくれる活動です。
「大丈夫」「私もそうだったよ」と言ってくれる人がいるだけで、心が軽くなることがあります。
誰かを頼ることは決して弱さではなく、自分や家族を大切にするための選択肢の一つです。
もし今、少しでも一人で抱え込んでいると感じている方がいたら、ホームスタートのような地域の支援を知ることが、新しい一歩につながるかもしれません。
初めての子育てで不安を感じている方
同じ子育て経験のある先輩が寄り添ってくれるため、一人で悩みを抱え込まずに過ごせます。
ワンオペ育児で相談相手が少ない方
話を聞いてもらえるだけでも気持ちが軽くなり、安心して子育てに向き合えるきっかけになります。
実家が遠く、頼れる人が近くにいない方
地域のホームビジターが「身近な先輩」として寄り添ってくれる心強い存在です。
地域とのつながりを持ちたい方
家庭訪問をきっかけに、支援センターや地域活動へ参加する第一歩にもつながります。
「誰かに話を聞いてほしい」と感じている方
アドバイスではなく、まずは気持ちを受け止めてもらいたい方におすすめです。
取材情報
取材日: 2026年7月24日
取材先: 認定NPO法人ホームスタート・ジャパン
取材ご協力: 代表理事 森田 圭子様
紹介サービス: ホームスタート
公式サイト: https://www.homestartjapan.org/






